【制作現場からリアルな解説】コピーライティングとセールスライティングの違いとは?

コピーライティングとセールスライティングの違い コピーライティング

こんにちは。コピーライター歴25年、内セールスライター歴10年のコピー/セールスライターPです。

その昔、セールスライティングは「通販のコピーでしょ。『今なら半額!』とか書くだけでしょ」などと揶揄された時代もありました。しかし、インターネット広告の拡大に伴い、「売る技術」としてのセールスライティングがやっと注目されるようになってきました。

しかし、コピーライティングとセールスライティングの違いについては、まだまだ知られていないように思います。「書かれる目的が違う」ということは知っていても、「ターゲット設定の違い」や「コピーの選び方の違い」など、セールスコピーライターとして最低限必要なことまで知っているという人はかなり少ないという印象です。

この記事では、セールスコピーライターとして最低限必要なコピーライティングとセールスライティングの違いを、私自身の経験に基づいてお伝えします。

コピーライティングのコピーは、「印象をつくる」イメージコピー

CMや屋外広告、企業のホームページなどで見かけることの多いイメージコピー。一般的に「コピー」というとイメージコピーのことを指す場合がほとんどです。

イメージコピーの役割は「印象づくり」。ブランディングが目的のコピーです。

企業の姿勢を端的に伝えたり、商品の特徴を特別なものとして届けたり、広告の世界観をひと言で伝えたり。イメージコピーが表現するものはさまざまですが、どれも「見る人の記憶に残す」ことを目指して書かれています。

短い文章の方がより見る人の記憶に残りやすいため、イメージコピーの多くは1行や2行といった短いフレーズで構成されていることが多いです。

イメージコピー例

「No Music! No Life!」タワーレコード

「どこよりも音楽が好きな企業」という企業姿勢を、音楽好きに受け入れられるよう表現されています。

「そうだ 京都、行こう。」JR東海

「思い立ったらすぐ乗れる新幹線の便利さ」を、説明することなく伝えられるよう表現されています。

セールスライティングは、「人を誘導する」ためのコピーの書き方

セールスライティングの元々の役割は、その名の通りセールスマン。コピーを読んだ人が商品やサービスを購入してくれるよう誘導することが目的のコピーです。セールスレターやDM、LPなどで活用されます。

現在は購入だけでなく、問い合わせや資料請求など、さまざまな役割を担っていますが、どのコピーも「見た人から連絡してもらう」というゴールに変わりはありません。セールスコピーの役割は「商品を購入してもらうこと」はもちろん、「人を呼び込むこと」も大きな役割となっています。

商品を知らない人に、広告だけで購入や問い合わせをしてもらうには、越えなければならないハードルがいくつもあります。そのためセールスコピーは、1行や2行などの短いフレーズだけで構成されることはほぼありません。

だからといって、キャッチコピーを軽視できるということではありません。セールスコピーにおいてもキャッチコピーはとても重要です。広告に興味を持ってもらわないと、購入や問い合わせに向けたスタート地点に立ってもらうことさえできないからです。

セールスコピーのキャッチコピー例

「87歳で介護のいらない母はコラーゲンを飲んでいる」ニッピコラーゲン

「いくつになってもずっと元気でいたい」と、切に願っている人の関心を集めることに特化した表現です。

「『よし動ける!』と思うたびにまたひざが…いつもこの繰り返し」サントリーウエルネス

ひざに悩みを抱える人に、「そうそう!」と共感してもらうことに特化した表現になっています。

イメージコピーとセールスコピーの具体的な違い

【ターゲット設定】イメージコピーは「広く」、セールスコピーは「狭く」

イメージコピーは基本的に、できるだけ幅広いたくさんの人にメッセージを届けたい場合に制作されます。先ほど例に挙げたタワーレコードのイメージコピーは「音楽好き(年齢性別問わず)」にメッセージを届けられる優れた表現だと思います。

一方、セールスコピーの例として挙げたサントリーウエルネスのコピーが届けたい相手は「ひざに動きを妨げるほどの痛みを感じることがある人」です。症状を考えると年齢もシニア層に限られます(性別は問わず)。タワーレコードのコピーに比べると、かなり限定られた人に向けたコピーであることが分かります。

セールスコピーの目的は基本的に「商品を購入してもらうこと」です。そのため、キャッチコピーも商品やサービスに興味があるかもしれない層だけが振り向くような表現になっているのです。

【コピーの選び方】イメージコピーは「オリエンシート」、セールスコピーは「ターゲットの心境」

広告制作の現場で、依頼主に提案するコピーが1案だけということはほとんどありません。いくつか候補案を制作し、その中から良いと判断したものを選んで提案します。

この提案するコピーの選び方も、イメージコピーとセールスコピーで異なります。

イメージコピーの場合、選ぶときの判断基準は、依頼主が表現したい内容をまとめた「オリエンシート」です。コピーの制作前に熟読するシートですが、提案前には改めて内容を確認しながら「依頼内容を超える新しい価値(世界観)を表現できているか」や「依頼内容(企業の姿勢や商品特性など)を上手く表現できているか」等を検証し、提案するコピーを選びます。

セールスコピーでもオリエンシートは重要ですが、そもそも存在しない場合も多くあります。特に依頼が「どんな広告をつくれば結果が出せるのか分からない。助けてほしい」という場合はほぼありません(あっても商品情報のシートだけです)。

こちらもコピー制作前に精査にしたターゲットの心境を改めて見直し、「この表現でターゲットは本当に購入したい(連絡したい)と思ってくれるか」を検討したうえで提案するコピーを選びます。オリエンシートがある場合は内容を確認しますが、ターゲットの心境に合わせて選ぶことの方が多いです。

この場合、提案するコピーがオリエンシートの内容とズレていることも多くあります。しかし、提案した理由を説明すれば拒否されることはあまりありません。理由はセールスコピーの効果測定の仕方にあります。

【効果の測定方法】イメージコピーは「印象」、セールスコピーは「数字」

最終的にコピーの良し悪しが判断される基準も、イメージコピーとセールスコピーでは異なります。

「印象づくり」のイメージコピーは評価も「印象」で決まります。中でも依頼主の印象評価が最も大きな要素となる場合が多いです。もっと時流に合わせて客観的に効果を測定するため、「好感度」を測ることもありますが、「印象」という曖昧なものを正確に測ることは不可能に近い、というのが正直なとっころです。

セールスコピーは購入や問い合わせを目的としているため、「〇件」など数字が評価の基準になります。どれだけ依頼主から高く評価されても、数字が悪ければ悪いコピーです。逆にいえば、数字が出るまでコピーの良し悪しは誰にもわかりません。オリエンシートに反したコピーを提案したとしても受け入れられる場合が多い理由はここにあります。

まとめ

イメージコピーセールスコピー
目的印象づくり、ブランディング購入・問い合わせ誘導
使用媒体企業HP、TVCM、イメージ映像、屋外広告他セールスレター、DM、LP、通販広告全般他
文章量1~2行数行~数十行
ターゲット設定できるだけ幅広く商品を買いそうな人だけに限定
決める基準オリエンシートターゲットの心情
効果の測定印象で決定、明確な測定は困難購入数や問い合わせ数で厳密に測定

イメージコピーとセールスコピーは書かれる目的が違うだけでなく、スタイルからターゲットの設定、提案するコピーの選び方や効果の測定方法まで、さまざまな点で異なります。

それぞれの違いをしっかり把握し、依頼内容に合わせて適切に書き分けられるコピーライティング技術を身につけましょう。

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