【現役コピーライターが解説】コピーを書くプロセスと上達法

コピーライティング

こんにちは。コピーライター/セールスライターのPです。

この記事ではコピーの種類から、コピーを書くためのプロセス、さらには今日からできるコピーの上達法などを具体的に紹介します。

コピーを書いてみたいけど、どう書けば良いかわからない。もっと上手にコピーを書けるようになりたい。

そんな悩みを持っている方、ぜひご一読ください。

コピーライティングとは

英語の「copy」には「広告文章」という意味があります。「広告文章」とは広告に使用される文章すべてのこと。キャッチコピーなど一部だけを指す言葉ではありません。「※」などの記号とともに記載される注釈文なども立派なコピーです。

コピーはエッセイや小説など他の文章と異なり、ビジネスの目的に沿って書かれています。

目的は「商品を知ってもらいたい」「企業イメージを高めたい」「商品を買ってもらいたい」「問い合わせしてほしい」などなど多岐にわたります。

そのため、コピーライターはクライアントからの目的に応じて、コピーを書き分ける技術が必要とされます。

コピーライティングとセールスライティング

よくコピーライティングに近しいものとして、セールスライティングが挙げられます。

しかし、実はセールスライティングは、コピーライティングの1ジャンル。

ビジネスの目的が「広告で商品を買ってもらいたい」や「問い合わせしてほしい」の場合にセールスライティングの技術によって書かれたコピーが求められます。このコピーはよく「セールスコピー」や「ダイレクトコピー」と呼ばれます。

コピーの種類

コピーの種類を図解

キャッチコピー

コピーと言えばキャッチコピーを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

文字通り読者を「キャッチ(=捕まえる)」するためのコピーです。

関心のない人の関心を誘って読んでもらうために、さまざまな工夫が凝らされています。クスっと笑える面白さや、ドキッとさせるインパクト、ほわっと心が和む優しさなど、どんな表現で読者を掴むかはコピーライターの腕の見せ所です。

タグライン

商品名や企業名、ブランド名の上に配置される、企業・商品・ブランドのコンセプトや想いなどを表現したコピーです。

企業広告などではキャッチコピーとして使用されることも多々あります。そのため、キャッチコピーと混同されることもありますが、基本的には役割の異なるコピーです。

リードコピー

読者をボディコピーへと導く(リードする)役割のコピー。特にキャッチコピーが商品やサービスを表現していない場合、採用されることが多くあります。

ボディコピー

商品やサービスの内容など、広告の送り手から読者に向けて届けたいメッセージを記し、ビジネスの目的を完遂するためのコピーです。

セールスライティングでは、商品・サービスの購入へと説得する役割を担うため特に重要視されます。

コピーを書くプロセス

何の準備もせず、いきなりコピーを書くことはできません。コピーは思いを綴る文章ではなく、ビジネスの目的を達成するための文章だからです。

商品やサービスの詳細はもちろん、誰に何を伝えて、どう思ってほしいのかなど、ビジネスの目的を詳細に把握することは必須です。

そのため、コピーは概ね以下のようなプロセスに沿って書かれます。

1) 目的とターゲットの確認

広告の目的と広告で狙う相手(=ターゲット)をクライアントに確認します。

広告の目的は「存在を知ってほしい」「店舗に誘導したい」「買ってほしい」などさまざまです。

また、ターゲットは「50代以上の女性」や「若者」など大まかなターゲットが示されると思います。

この2つをしっかりと確認して、クライアントと認識を共有しておかないと、提案が無駄になってしまいかねません。

クライアントは「働き盛りの男性」を狙いたいのに、「若い女性」を狙ったコピーを提案しても受け入れられる可能性は極めて低くなります。

2) メリット・ベネフィットの整理

メリットは商品が持っている特長のこと。ベネフィットはメリットによってもたらされる良い変化のことだと考えると分かりやすいかもしれません。

メリットは商品の特徴をまとめたシート等があればすぐに整理できますが、ベネフィットはそうでない場合がほとんどです。

たとえば、ひざ関節サプリメントでメリットが「ひざの痛みを抑える」ことだとします。では、ベネフィットはどうなるでしょうか。ターゲットが50代以上のシニア層だとした場合、以下のようなベネフィットが考えられます。

  • 布団干しなどで、階段を気にせず昇り降りできる。
  • 存分に孫の相手ができる。
  • 旅行先でひざを気にせず歩き回れる・・・etc

「商品・サービスのメリット」「ターゲットの生活シーン」の2つが交わる部分で、「どんな良い変化が起きるか」を考えるのがコツです。

メリットと生活シーンの重なる場所で起きる「良い変化」がベネフィット

ベネフィットを数多く挙げることができると、次に控えるライティング作業がラクになります。

3) ライティング

ここでは、キャッチコピーのライティングを想定して説明します。

キャッチコピーはできるだけ多くの案を作り、その中からクライアントに提案する案を選ぶ、という方法をおすすめします。

いくつもの案の中から提案するコピーを選ぶことのメリットは、3つあります。

  • さまざまな切り口のコピーを提案できること。
  • 独りよがりな提案になる危険性を下げられること。
  • たくさん書くこと自体がコピーライティングの上達につながる。

対するデメリットは、つくるのに手間がかかる、という程度です。少し手間をかけるだけで、クライアントの満足度を高めることができるためおすすめです。

なお、「たくさん書けない」という人には、後ほど紹介する「20秒ダッシュライティング」でのトレーニングをおすすめします。

一方で、コピーを1案だけ提案する一番のデメリットは、クライアントが判断(納得)しにくい、ということです。

これはクライアントの立場に立つと分かります。1案だけでは比較対象となる案がないため、提案を受けたコピーが本当にふさわしいのか判断(納得)が難しくなるのです。

また、バナー広告などの場合にはテストのためにいくつもの案が必要になることがほとんどです。

普段から数多くの案をつくる訓練をしておく方が、さまざまな状況に対応できるようになります。

キャッチコピーの種類

キャッチコピーは、大きく以下の2種類に分けられます。

メリット(商品特長)を使用したキャッチコピー

インパクトの大きいメリットの場合、余計な表現を加えずにそのままキャッチコピー化することが有効です。

仮に「1000名様に1000万円をプレゼント」というメリットの場合、そのままキャッチコピーとして使用しても、多くの注目を集める可能性が高いと考えられます。

ただし、この方法はメリットのインパクトが大きい場合のみ活用可能です。しっかりと見極めることが大切になります。

B)ベネフィット(もたらされる良い変化)を使用したキャッチコピー

先ほど「こぴーを書くプロセス 2)メリット・ベネフィットの整理」で考えたベネフィットを元につくられたキャッチコピーです。

ベネフィットをそのままキャッチコピー化することはもちろん、その変化によるターゲットの心象や周囲の人の印象を描くことでもキャッチコピーをつくることが可能です。

ベネフィットを中心に視点などを変えることで、さまざまなキャッチコピーをつくり出すことができます。最も注力すべき方向性ともいえるでしょう。

コピー上達法(トレーニング法)

コピーの上達にはインプットも大切ですが、アウトプットの方をより重視すべきでしょう。

コピーを書き始めた頃は、「知識はあっても、なぜか言葉が出てこない」という状況に陥ることもあります。これはアウトプットの訓練不足にゆるものだからです。

ここではインプットとアウトプットそれぞれのトレーニング法をご紹介します。

インプット【コピーの分析】

日常生活の中で見かけたキャッチコピーの分析は、手軽にできる有効な上達法です。

ただし、分析する際にはいくつかポイントがあります。

キャッチコピーの狙いについて分析する

「ターゲットは誰なのか」「ターゲットにどう思ってほしいのか」など、キャッチコピーに込められたビジネスの目的を分析することが大切です。

気にならなかったコピー、好きではないコピーも分析する

気になったコピーや好きなコピーを分析することも大切ですが、気にならなかった/好きでないコピーの分析も重要です。

気にならなかった/好きでない理由が、表現の問題なら自分なりの修正案を考えてみましょう。

ただし、「そもそもターゲットが自分ではない」など表現以外の理由で気にならなかった可能性もあります。その場合、この表現でターゲットは気になるのだろうか。どんな思いを持っている人なら気になるのだろうかなど、想定されるターゲットについて思いを巡らせることが大切です。さまざまなターゲットに向けたコピーを書くための準備となります。

また、この分析を繰り返すことによって、「コピーを見る目」が養われるため、クライアントに提出する案を選ぶ際に役立ちます。

アウトプット【20秒ダッシュライティング】

「たくさんのコピーが書けない」という人のためのトレーニング法です。ちなみに、「20秒ダッシュライティング」という名前は私がつけました。一般的に言われているものではありません。

内容は以下の通りです。

  • 20秒に1本キャッチコピーを書く。必ず書く。
  • どんなキャッチコピーでもOK。すでに書いた案の「てにおは」違いや文法的におかしいコピーでもOK。とにかく20秒に1本キャッチコピーを書くことが大事。
  • 5分1セットで4セット程度行う。

「コピーが書けない」という人の多くは、キャッチコピーが浮かんでも「つまらない」「ありきたり」と頭の中で切り捨ててしまっているうちに、何も思い浮かばなくなる、という状況にあります。

このトレーニングは、20秒という時間制限を設けることで、頭の中で案を切り捨てずに書き出す習慣をつけることができます。

さらに、時間に追われながら書き続けていると、「思わぬ新案」が飛び出してくることもあります。また、「つまらない案」が少しずつ書き換えられて、いつの間にか「おもしろい案」になっていることも。

そして、4セット終えた後には80本ものキャッチコピー案が残ります。

トレーニング後に見返すと、書いている最中には気づかなかった「新たな切り口」が見つかることも多々あります。

上達のためのトレーニングはもちろん、実務にも役立つ「20秒ダッシュライティング」をぜひお試しください。ただし、このトレーニングは非常に疲れるのでご注意を!

型やコツとの付き合い方

ボディコピーやコンテンツなど長めの文章を書く際に用いられるPREP法や、心理現象のザイガニック効果(不完全なものは気になる)を活用した、見た人の興味を引くキャッチコピーの書き方など、コピーライティングにはさまざまな型やコツがあります。

これらはコピーライターにとって、とても強力な武器となります。知らないよりも知っておいた方が間違いなく有益です。

しかし、型やコツを使用すれば良いコピーが書けるというものではありません。型やコツはコピーライターが読者に伝えたいメッセージを、より効率的かつ強く届けるためのツールです。

伝えたいメッセージそのものがズレていると何の効果もありません。また、ありきたりなメッセージはいくら型やコツを使用したところで、クライアントが提示したビジネスの目的を達成することは難しいでしょう。

型やコツに頼り過ぎるのではなく、ビジネスの目的に沿った優れたコピーを書く力を養うことが大切です。

まとめ

コピーはあくまでビジネスの目的を達成するための文章です。センスが求められることももちろんありますが、それよりも目的をきちんと把握して、それを達成するための言葉を誠実に紡いでいくことの方が大切です。

目的意識をしっかり持ち、コピーライティングの技術を磨き続けることで、「求められるコピーライター」を目指しましょう。

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